マラソンにおけるペース走(Mペース)の効果・適正ペース・距離

マラソントレーニングの大半を占めるペース走は、マラソンペース(Mペース)とも呼ばれており、マラソン本番を想定したレースペースです。

マラソンを想定したペースで走るという単純なトレーニングでありながら多くの市民ランナーから実業団選手まで取り入れているペーストレーニングの1つです。

ここでは、ペース走の効果や適正なペース・距離について解説します。

ペース走とイージーランの違いといえば、実際の本番を想定したペースを維持するということです。

イージーランは会話が出来るペースで楽に走ることで、身体の土台作ることが目的でした。しかし、マラソンペースはイージーランよりも速いペースを維持することが目的のトレーニングであり、精神的にも少しきつくなります。

ペース走を維持することでレース感覚を身に付けたり水分補給の練習を行うなど実践的な練習といえるかもしれません。

初心者ランナーさんでも特にありがちなのが、最初にオーバーペースになってしまい、後半でペースが大きく落ちてしまうということです。マラソン大会は多くの人が参加するため、自分のペースがわかっていないと周囲の人のペースに巻き込まれてしまいペースを乱してしまうことになりかねません。

特に初心者ランナーさんは、後半でのペースを修正したりする感覚が分からないため、「長い時間走るにはこのペース」という感覚を身に付けることが大切です。

自身のペースを分かっているランナーさんは、レースプランを冷静に立てることが出来るため走っている時にも精神的な余裕が生まれます。精神的な余裕が生まれると、余計な力も抜けて楽に走ることが期待出来ます。


以上から、一定のペースで走り続けるペース走はこのペース感覚を身につけるのに効果的なトレーニングといえます。

フルマラソンなどの長距離のマラソンでは、途中の水分補給は欠かせません。走り続けると上がった体温を下げようと身体は汗をかきます。走るペースを維持するためには身体の水分量を保つ必要があるため、水分補給無しでは水分・ミネラルが不足しペースを維持することが出来なくなります。

しかし、走っている時の水分補給を練習しておかないと、水分が気管に入ってしまい咳こんでしまったりなどでペースが乱れてしまうきっかけになる可能性もあります。

走っている時の水分補給で口に含む水分量飲み込むタイミングなどを知っておくことで、適切に水分を補給することができ、ペースを乱すきっかけを無くすことに繋がります。

ダニエルズのランニング・フォーミュラではペース走の身体的効果はイージーランと変わりはないとされています。

【ペース走の主な効果】

1.ケガに対する耐性をつくる

2.心筋を強化する

3.血液の酸素運搬能を改善する

4.ミトコンドリアの増加

ケガに対する耐性をつくる

速いペースのランニングは腰・膝・足首の負担を増やし故障のリスクが高まります。しかし、練習の大部分をイージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動にすることによって、ケガに対する耐性を作り、ケガの予防に繋がるとされています。

心筋を強化する

心臓の収縮する力は最大心拍数の60%程度で最大に達するため、きついペースで短い時間よりも比較的楽なペースで走る時間を伸ばすことで心臓の強化が出来ます。

血液の酸素運搬能を改善する

筋肉で毛細血管を新しく生成し、血液が筋肉に行きわたりやすくなります。ペース走で長い時間走ることで、循環器系にかけていくと、血液の酸素運搬能力は向上し、より多くの血液を全身の筋肉に送ることができるようになります。

ミトコンドリアの増加

イージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動を継続することで筋肉細胞内のミトコンドリアを増加させることが分かっています。ミトコンドリアは酸素と脂肪を利用しエネルギーを生成する細胞であり、ミトコンドリアが増えることでエネルギー生成の効率が上がります。

つまり、イージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動を継続することで酸素・脂肪を利用したエネルギー生成の効率が上がり、筋肉内のグリコーゲンを温存することが出来ます。筋肉内のグリコーゲンを温存することで、後半でペースを上げたりなどラストスパートをかけることが出来るようになります。

またペース走は身体的な効果だけでなく、実践的なペースを維持することが出来たという自信に繋がり、メンタル的にも良い効果が期待出来ます。

ペース走はVO2maxの75~84%最大心拍数の80~89%であるとされています。

最大心拍数が190である場合、心拍数が152~169の間で走るペースがペース走です。自身の最大心拍数を把握し、適宜心拍数を把握しながら走ることで実践的なペース走でトレーニングが出来ます。

しかし、心拍数は走るペースだけでなく、疲労や睡眠不足・ストレスなどによる身体の調子走る道路の整備や勾配気温などによって左右されます。そのため、走るペースは変わらないけど、心拍数が上がりやすいという時はペースを落とすことを推奨します。

ペース走で1度に走る距離は週間走行距離の20%以下が目安です。イージーランよりも負荷が高いため、上限が短くなっています。 そのため、もしハーフマラソンを想定しペース走で21kmを走るなら週間走行距離が約100kmは必要であり、多くの方は走る距離かペースを落とした方が良いといえます。

もし、週間走行距離が50kmであるならペース走は10km以内に抑えることが望ましいということです。

自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリとして「VDOT Calculator」というものがあります。VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

上の例であればペース走は1kmを4分39秒で走るペースが望ましいということです。4

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