【理論】マラソンにおけるペース走(Mペース)の効果・適正ペース・距離

【オススメ対象者】

1.マラソンが速くなりたい人

2.トレーニングの理論が知りたい人

3.長距離のコーチを目指している人

マラソンのトレーニング方法の中でも、「ペース走」は多くのランナーが取り入れている定番メニューです。しかし一方で、「なんとなく決めたペースで走っている」「距離や頻度が本当に合っているのかわからない」という状態になっていないでしょうか?

ペース走は目的と理論を理解して行うかどうかで効果が大きく変わるトレーニングです。適正ペースを外せば効果が薄れ、やりすぎれば疲労や故障の原因にもなります。

この記事の解説内容

1.ペース走がマラソンに与える具体的な効果

2.ペース走の適正ペースの考え方

3.オーバーワークにならないペース走の距離

「ペース走を感覚ではなく理論で理解したい」「マラソン後半でもペースを落とさず走れる力を身に付けたい」というランナーは、ぜひ参考にして下さい。

結論

1.マラソンペースの身体的効果はイージーランと大きく変わらない

2.マラソン本番ペースで走ることでレース感覚や水分補給・補給食のタイミングなどが身につく

3.ペース走の速さ:「心拍数基準ー最大心拍数の80~89%」・「自己ベスト基準ー「VDOT Calculator」というアプリを参照

4.マラソンペースは1週間の走行距離の20%以下にする

ペース走とイージーランの違いといえば、実際の本番を想定したペースを維持するということです。

イージーランは会話が出来るペースで楽に走ることで、身体の土台作ることが目的でした。しかし、マラソンペースはイージーランよりも速いペースを維持することが目的のトレーニングであり、精神的にも少しきつくなります。

ペース走を維持することでレース感覚を身に付けたり水分補給・補給食摂取のタイミングを身に付けたり、補給の練習を行うなど実践的な練習といえるかもしれません。

ダニエルズのランニング・フォーミュラではペース走の身体的効果はイージーランと変わりはないとされています。

【ペース走の主な効果】

1.ケガに対する耐性をつくる

2.心筋を強化する

3.血液の酸素運搬能を改善する

4.ミトコンドリアの増加

ケガに対する耐性をつくる

速いペースのランニングは腰・膝・足首の負担を増やし故障のリスクが高まります。しかし、練習の大部分をイージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動にすることによって、ケガに対する耐性を作り、ケガの予防に繋がるとされています。

心筋を強化する

心臓の収縮する力は最大心拍数の60%程度で最大に達するため、きついペースで短い時間よりも比較的楽なペースで走る時間を伸ばすことで心臓の強化が出来ます。

血液の酸素運搬能を改善する

筋肉で毛細血管を新しく生成し、血液が筋肉に行きわたりやすくなります。ペース走で長い時間走ることで、循環器系にかけていくと、血液の酸素運搬能力は向上し、より多くの血液を全身の筋肉に送ることができるようになります。

ミトコンドリアの増加

イージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動を継続することで筋肉細胞内のミトコンドリアを増加させることが分かっています。ミトコンドリアは酸素と脂肪を利用しエネルギーを生成する細胞であり、ミトコンドリアが増えることでエネルギー生成の効率が上がります。

イージーラン・ペース走のような低強度の有酸素運動を継続すると酸素・脂肪を利用したエネルギー生成の効率が向上します。エネルギーの生成効率が上がることは、ペースが速くなり心拍数が上がった際、多くの酸素を取りこぼさずにエネルギーに利用できるということです。

走(かける)
走(かける)

心肺機能を強化し、多くの酸素を筋肉に送ってもエネルギー生成に利用出来なければ意味がありません。ペース走は、酸素の取りこぼしが少なくなる必要不可欠なトレーニングです。ゆっくり走るペースも大切であるということは、こうした側面があるからです。

またペース走は身体的な効果だけでなく、実践的なペースを維持することが出来たという自信に繋がり、メンタル的にも良い効果が期待出来ます。

【ペース走で身につく実践感覚】

1.周囲のペースに惑わされず、最初のオーバーペースを防ぐ

2.水分補給・補給食のタイミングが分かる

3.水分補給・補給食の摂取を練習しむせるのを防止する

最初のオーバーペースを防ぐ

初心者ランナーさんで特にありがちなのが、最初にオーバーペースになってしまい、後半でペースが大きく落ちてしまうということです。マラソン大会は多くの人が参加するため、自分のペースがわかっていないと周囲の人のペースに巻き込まれてしまいペースを乱してしまうことになりかねません。

特に初心者ランナーさんは、後半でのペースを修正したりする感覚が分からないため、「長い時間走るにはこのペース」という感覚を身に付けることが大切です。

自身のペースを分かっているランナーさんは、レースプランを冷静に立てることが出来るため走っている時にも精神的な余裕が生まれます。精神的な余裕が生まれると、余計な力も抜けて楽に走ることが期待出来ます。

走(かける)
走(かける)

ペースを知っておくことは精神的に非常に楽で余計な力が抜けます。

余計な力が入らないことでレース本番でもパフォーマンスを発揮出来るようになります。

水分補給・補給食のタイミングが分かる

フルマラソンなどの長距離のマラソンでは、途中の水分補給は欠かせません。走り続けると上がった体温を下げようと身体は汗をかきます。走るペースを維持するためには身体の水分量を保つ必要があるため、水分補給無しでは水分・ミネラルが不足しペースを維持することが出来なくなります。

しかし、水分補給・補給食の摂取タイミングは、自身の走るペースや水分・補給食の種類などによって少し変わってきます。自身の最大パフォーマンスを発揮することができる水分補給・補給食の種類・タイミングを把握しておくことは非常に大切!

走(かける)
走(かける)

色々試行錯誤しながら、レースプランを組み立てていく過程は慣れてくると楽しくなってきます!

水分補給・補給食の摂取を練習でむせを防ぐ

マラソンは非常に繊細な一面のあるスポーツです。ちょっとした坂道や減速、水分補給・補給食の摂取失敗により咳き込むなど些細なことでペースを崩してしまうこともあります。

走りながらの水分補給・補給食の摂取は少しコツが必要です。本番に向けて練習をしておこないと、水分や補給食が気管に入ってしまい咳こんでしまったりなどでペースが乱れてしまうきっかけになる可能性もあります。

走っている時の水分・補給食の摂取時にで口に含む量飲み込むタイミングなどを知っておくことで、適切に補給することができ、ペースを乱すきっかけを無くすことに繋がります。

走(かける)
走(かける)

意外と見落としがちですが、補給の練習は非常に大切!

補給の練習を怠ったことで補給に失敗しペースを乱すランナーも少なくありません。

【初心者へ】レース前・レース中にオススメの補給食と理由を解説!

ペース走はVO2maxの75~84%最大心拍数の80~89%であるとされています。

最大心拍数が190である場合、心拍数が152~169の間で走るペースがペース走です。自身の最大心拍数を把握し、適宜心拍数を把握しながら走ることで実践的なペース走でトレーニングが出来ます。

最大心拍数の測定方法

ランナーが最大心拍数を測定する場合、2分間のハードな坂道走を何度か繰り返すことで測定出来ると言われています。ハードな坂道走を2回目より3回目の方が心拍数が高い場合、4回目を行い測定、測定したところで数値が変わらなくなるところまで繰り返していき、最大の数値を最大心拍数としてみなします。

心拍数は走るペースだけでなく、疲労や睡眠不足・ストレスなどによる身体の調子走る道路の整備や勾配気温などによって左右されます。そのため、走るペースは変わらないけど、心拍数が上がりやすいという時はペースを落とすことを推奨します。

自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリとして「VDOT Calculator」というものがあります。VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

自己ベストは10km走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15km・10km・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

上の例であればペース走は1kmを4分39秒で走るペースが望ましいということです。

【マラソン大会で成績を残したい人へ】走るペースとトレーング効果について

ペース走で1度に走る距離は週間走行距離の20%以下が目安です。イージーランよりも負荷が高いため、上限が短くなっています。 そのため、もしハーフマラソンを想定しペース走で21kmを走るなら週間走行距離が約100kmは必要であり、多くの方は走る距離かペースを落とした方が良いといえます。

もし、週間走行距離が50kmであるならペース走は10km以内に抑えることが望ましいということです。

最新のランニング・トレーニング本であり、体力向上やレース結果にこだわりたい人トレーニング理論とプログラムを提供します。中距離の800mからフルマラソン、トライアスロンまで持久系スポーツを幅広く対応し効率的なトレーニングを知ることが出来ます。VDOTにより自身の能力や目標に対してどのような練習をすれば良いのか分かりやすく、多くのランナーのバイブルになっています。

筑波大でランニングの研究をしている著者が、楽に走るためのフォームやウォーミングなど独自のテクニックを紹介している書籍です。記録にこだわるランナー向け新しいランニングの知識を提供し、ランニングの視野を広げてくれる書籍といえます。速く・楽に走るためのテクニックの参考になると思います。

初心者ランナー正しいフォームで走り、ダイエットを成功させる基本を解説しています。ダイエット目的としていますが、30代女性ランナーが指導を受けながら成長するストーリーを通じて、フォーム・トレーニング方法、セルフケアを学ぶことが出来ます。初フルマラソンに挑む初心者ランナーや故障に挑むランナーの事例も紹介され、特に初心者ランナー向けの内容になっています。漫画とイラストを使い、事前知識のないランナーでも分かりやすいため、最初の1冊目として参考にしてみてはどうでしょうか?