【閾値走とは?】閾値走の効果・ペース・適正距離・取り入れ方について

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本記事のオススメ対象者は以下のような人です。

1.マラソンが速くなりたい人

2.トレーニングの理論が知りたい人

3.長距離のコーチを目指している人

 マラソントレーニングの1つである「閾値走」。

閾値走とは、乳酸組成作業閾値付近の強度で一定時間走るトレーニングです。

閾値走は、フルマラソンやハーフマラソンの記録向上に直結しやすいトレーニングです。しかし、強度設定を間違えると「ただキツいだけの練習」になってしまうこともあります。

 なんとなく速めに走っているだけでは、思うような効果は得られません。閾値走を効果的に行うには知識が必要です

 本記事ではそんな閾値走について初心者ランナーさんでも分かりやすく解説しています。

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「レース後半でも失速しにくくなりたい」「今の練習から一段階レベルアップしたい」そんな方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

閾値走とは?

閾値走とは乳酸組成作業閾値付近の強度で一定時間走るトレーニングを指します。つまり、糖質エネルギーを消費した際に生じる乳酸を再度エネルギーとして処理しきれる強度で一定時間走り続けるトレーニングです。

 乳酸=疲労物質と思われがちですが、乳酸そのものは疲労物質ではなく、エネルギーとして再度使用できます。この乳酸を処理エネルギーとして再度使用するとスピードが維持できます。

 閾値走は主にスピード持久力を向上させる効果が期待でき、閾値走を行うことで、乳酸の処理能力が上がるため速いペースを維持しやすくなります。

 閾値走は中級者・上級者でも終わるのが待ち遠しいトレーニングであり、きついトレーニングの1つです。非常にきつく感じるのに、スピードは維持できてしまう…という強度であり、粘り続けることで大きな効果を得ることができます。

閾値走がおすすめな人

1.レース後半に失速してしまう人

2.フルマラソン・ハーフマラソンの記録を伸ばしたい人

3.持久力・スピードの両方を高めたい人

4.効率よくレベルアップしたい人

閾値走の効果

 閾値走の主な効果はスピード持久力が向上することです。

 閾値走を継続することで、「速いペースの維持」「レース後半の粘り強さ向上」に大きく貢献します。閾値走はフルマラソン・ハーフマラソンの記録を伸ばして行く上で欠かせないトレーニングです。

閾値走を行うことによる、スピード持久力が向上し「速いペースの維持」「レース後半の粘り強さ向上」の背景にある身体的な変化についてお伝えしていきます。

乳酸処理能力の向上

 閾値走は乳酸をギリギリ処理しきれるペースで走り続けるため、ミトコンドリアでは乳酸を処理する能力が高くなる効果が期待できます。

 乳酸処理能力が上がると糖質エネルギー+乳酸エネルギーでエネルギーを生成しやすくなるため、最後までスピード維持しやすくなります。

乳酸が溜まってもペースを維持する能力が高まる

 閾値走をこなすことで乳酸処理能力が上がるだけでなく、乳酸が処理しきれないペースでも目張りやすい身体が作られることが分かっています。

 その結果、レース後半の最後の粘り強さに直結し、レース後半にスパートをかけることが出来るようになってきます。

心肺機能の強化

 閾値走は心肺に負荷がかかっている状態が長く続きます。そのため、心肺機能強化の効果があり、多くの酸素を取り込み・全身に送る能力が高くなります。

 その結果、イージーラン・マラソンペースの効果で増加したミトコンドリアに多くの酸素を送り届けることができるようになります。ミトコンドリアに多く酸素が行き渡ることで、効率よく脂肪酸と酸素でエネルギーを得ることが出来るようになります。

 脂質代謝能力が上がることで糖質エネルギーを温存しやすくなり、マラソンでは最後までペースを維持しやすくなります。

レースペースに余裕が生まれる

 閾値走のペースが上がると、これまで苦しかった10kmやハーフマラソンのペースが、相対的に楽になってきます。

 その結果として、レース本番では後半までランニングフォームやペースを保ちやすくなります。

 ランニングフォームを保つことは特定の箇所に負担を集中させることを避けるため、ケガのリスク軽減にも繋がります。

閾値走の適正ペース

閾値走のペース設定:心拍数ベース

 閾値走というペースは非常に範囲が狭く、設定ペースが大変です。ペースを管理しなければ、中途半端になってしまい思うような効果が得られません…

 閾値走は最大心拍数の85~92%の強度で走ることが一つの目安とされています。

最大心拍数が190の場合:190×(85~92)/100=161回/分~174回/分が目安となります。

最大心拍数を測定する方法

自身の最大心拍数を測定方法として坂道ダッシュを繰り返す方法がオススメです。

1.2分間坂道ダッシュを繰り返して心拍数を測定

2.1分間の測定後に再度坂道ダッシュを2分間行う

 坂道ダッシュを繰り返していき、心拍数が最大値から変化しなくなった値が最大心拍数です。

年齢から適正ペース予測する方法

1.220ー年齢=最大心拍数

2.最大心拍数×85~92%

【例】年齢30歳:(220ー30)×85~92/100=161回/分~174回/分

【心拍数ベースの注意点:心拍数に影響を与える要因】

心拍数は走るペースだけでなく、「疲労や睡眠不足・ストレスなどによる身体の調子」・「走る道路の整備や勾配気温」などによって左右されます。そのため、走るペースは変わらないけど、心拍数が上がりやすいという時はペースを落とすことを推奨します。

閾値走のペース設定:自己ベストベース

VDOT Calculator:自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリ

VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

※あくまでも自身の能力に対する目安であり、その日のコンディションや気温・走る道などによって左右されますので、イージーランは楽に走ることが出来ることを意識して走ることがポイントです。

閾値走を行うにはランニングウォッチがオススメ

 閾値走は”心拍数ベース””自己ベストベース”で設定して、一定ペースで走り続けます。正確なペースで走るにはランニングウォッチの装着がオススメです。

 スマフォでもペースは確認できますが、スマフォを取り出してペースを確認するという手間があり、走る時に邪魔になってしまいます…スマフォを取り出すという手間や走りながらスマフォを操作・注視することは危険なため、安全のためにもランニングウォッチが望ましいです。

 また、ランニングウォッチのモデルによってはGPS精度が非常に正確なものもあり、正確なペースで走ることもできます。

閾値走の設定ペースは難しい➝ビルドアップ走もオススメ

 閾値走は適正ペースの範囲が狭いため、実はベテランでも正確なペース設定は難しいと言われています。

 そのため閾値走を設定した一定ペースで走るのではなく徐々にペースを上げていくビルドアップ走でこなしているというランナーもいらっしゃいます。徐々にペースを上げることで、一部閾値走のペースで走ることを目的としています。

 非常にきついトレーニングですが、ビルドアップ走は様々な恩恵を受けられるため、閾値走の設定ペースに自信のないランナーはビルドアップ走で代用してみるのもいいかもしれません。

閾値走の適正距離

閾値走は、距離より「閾値強度で走る時間」で考えるのが基本です。目安は、合計で20〜40分程度です。

レベル閾値走の時間距離の目安
初心者〜初級者15〜20分3〜4km前後
中級者20〜30分4〜6km前後
上級者30〜40分6〜10km前後

目的別の目安

5kmレース対策:3〜5km

10kmレース対策:4〜6km

ハーフマラソン対策:5〜8km

フルマラソン対策:5〜10km

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フルマラソン向けでも、閾値走を長くしすぎる必要はありません。マラソンペース走やロング走とは役割が違い、閾値走は比較的短い時間で高い有酸素刺激を入れる練習です。

続けて走れない場合

閾値走はきつい状態が続くため、エリートランナーでも終わりが待ち遠しいトレーニングです。そのため、無理に連続で走らず、分割して走る方法もありです。

10分×2本、15分×2本

2km×3本、3km×2本

つなぎは1〜2分程度のゆっくりしたジョグが目安です。こうした方法は「クルーズインターバル」と呼ばれます。

取り入れやすい設定

 最初は、アップジョグ → 閾値走20分 → ダウンジョグで十分です。距離で決めるなら、まずは4〜5km程度から始めるのが無難です。

 閾値走の終盤にランニングフォームが崩れる、ペースが大きく落ちる、翌日まで強い疲労が残る場合は、距離またはペースが強すぎます。閾値走は「全力で耐える練習」ではなく、ややきつい強度をコントロールして維持する練習です。

閾値走の伸ばし方

閾値走を伸ばすときは、いきなりペースを上げるより、まず閾値強度で走れる合計時間を増やすのが基本です。

1. まずは合計20分を安定させる

最初は連続20分、または分割で合計20分を目指します。

【例】

・10分×2本

・2km×2〜3本

・5分×4本

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つなぎは1〜2分のゆっくりジョグで十分です。

2. 次に走行時間を少しずつ増やす

20分を楽にこなせるようになったら、1回につき5分程度増やします。

【進め方の例】

20分➝25分➝30分➝35分

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毎週増やす必要はありません。2〜3週間同じ内容を続けて、余裕が出たら増やすくらいで十分です。

3. 連続走へ移行する

分割で30分できるなら、徐々に連続走へ移します。

【例】

10分×3本

15分×2本

20分+10分

30分連続

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分割でも十分効果はあります。連続走にこだわりすぎなくて大丈夫です。

4. 最後にペースを少し上げる

同じ時間を安定して走れるようになったら、ペースを少し上げます。目安は、1kmあたり5〜10秒程度の小さな変化です。

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一気に上げると、閾値走ではなく高強度インターバルに近づいてしまいます。

おすすめ4段階

段階内容
110分×2本
215分×2本
320〜30分連続
4同じ時間で少しペースアップ

閾値走は週に1~2回程度が目安

 閾値走は基本的に週1回で十分です。走力が高く、回復が良好な場合でも週2回までが目安です。

 週2回行う場合は、両方を強くしすぎず、以下のように分けると負担を抑えられます。

1回目:短めで少し速め
2回目:長めで少し余裕を持つ

 この場合は、閾値走の時間かペースのどちらかを下げます。

 閾値走は、苦しさに耐える練習ではなく、「ややきつい」を長く保つ練習です。距離・時間・ペースを同時に増やさず、1つずつ伸ばすのが失敗しにくい進め方です。また、閾値走は連日行うのではなく、2~3日の十分な期間を空けて行うのがポイントです。

閾値走を取り入れるオススメタイミング

閾値走は、疲労が少なく、ある程度スピードを出せる日に入れるのがおすすめです。

1お週間の中で入れるタイミング

オススメ日

避けたいタイミング

週間スケジュール:例

週4回走る場合

曜日内容
休養
イージーラン
閾値走
休養
イージーラン
休養または軽いジョグ
ロング走

週5〜6回走る場合

曜日内容
イージーラン
閾値走
回復ジョグ
イージーラン
休養または軽いジョグ
ロング走
回復ジョグ

大会までの時期別

基礎期

基礎体力づくりの時期でも閾値走は取り入れられますが、強度は控えめにします。

・10分×2本

・15〜20分連続

・週1回

まずは「楽すぎず、きつすぎない」感覚を身につけます。

レース6〜10週間前

閾値走を最も活用しやすい時期です。

・20〜30分連続

・2〜3km×2〜3本

・週1回

10kmやハーフマラソンでは、特に重要な時期です。

レース2〜3週間前

距離や本数を減らし、疲労を残さないようにします。

・10〜20分

・2km×2本程度

・ペースは維持して量を減らす

レース直前

大会の3〜5日前に短く入れる方法もありますが、追い込む必要はありません。

・5〜10分程度

・短い刺激入れ

・余裕を残して終了

時間帯

 暑い季節は、早朝か夕方以降がおすすめです。閾値走はペース維持が重要なので、暑い時間帯では本来の強度設定が崩れやすくなります。

 また、起床直後よりも、身体が温まりやすい夕方の方が走りやすい人も多いです。ただし、夜遅すぎると睡眠に影響することがあるため、就寝直前は避けた方が無難です。

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一番おすすめなのは、休養または軽いジョグの翌日に、週1回入れる形です。

まとめ

 本記事は閾値走について解説してきました。

 閾値走は乳酸組成作業閾値付近の強度で一定時間走るトレーニングを指します。乳酸が処理しきれるペースで走るため、きついけどペースが維持できてしまう…という状態が続きます。閾値走は中級者・上級者でも終わるのが待ち遠しいトレーニングであり、きついトレーニングの1つです。

 閾値走を行うことで得られる効果は、乳酸処理能力の向上・乳酸耐性の向上・心肺機能の向上です。その結果として、速いペースを維持するスピード持久力が強化され、マラソン本番のレースパフォーマンス向上に大きく貢献します。

 閾値走のペースは心拍数をベースとする場合、最大心拍数の85~92%の強度で走ることが一つの目安とされています。しかし、厳密には閾値走のペース範囲は非常に狭いため、設定ペースが難しいと言われています。

 そのため、徐々にペースを上げるビルドアップ走の一部を閾値走として取り入れてるランナーもいます。

 閾値走は1回20~40分程度が目安とされています。基本的には週1回で十分ですが、多くても週2回に留めておきましょう。週2回行う場合、1回は時間やペースを少し制限してオーバーワークを防ぐことがポイントです。

 閾値走を1回行ったら、2~3日の間隔を空けてサイド行うようにしましょう。連日の閾値走はNGです。

 閾値走はスピード持久力を課題にしている人は、基礎期から取り入れてみましょう。レース6~10週間前は閾値走を取り入れたいタイミングです。そしてレース時期が近づいてきたら疲労を取り除くために、徐々に時間を短くしていきましょう。

参考文献

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